Friday, April 03, 2009

「鋼之鍊金術師」動畫新系列4/5開始~

<特集>「鋼の錬金術師」(その1) 宿業の兄弟の旅、ついに“最終章” アニメ新シリーズも開始
4月3日12時2分配信 毎日新聞


4月11日に最新刊が発売されるマンガ「鋼の錬金術師」累計3600万部を超える。左から兄のエドと父・ホーエンハイム、弟のアル。(C)2009 HiromuArakawa/SQUAREENIX

 少年マンガ誌「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)で連載中の「鋼の錬金術師」(荒川弘)。人体錬成、ホムンクルス(人造人間)、キメラ(合成獣)といった禁忌(タブー)とされるテーマを描いたファンタジーは、MBS・TBS系で03年にアニメ化、劇場版も公開され、コミックスも4月11日発売の22巻で累計部数3600万部を突破するビッグタイトルだ。4月5日からアニメ新シリーズがスタートし、再ブレーク必至の「ハガレン」。その魅力を追った。

 物語は、「錬金術」が科学技術のように発達した世界で、幼い兄弟のエドとアルが、死んだ母をよみがえらせるために、錬金術において禁断の「人体錬成」に挑む。だが、錬成は失敗、代償として左足を失い、弟アルは体全てを失う。エドは右腕を代償にアルの魂を錬成し、そばにあった鎧に魂だけを定着させることに成功する。そして二人は、体を取り戻すカギ「賢者の石」を探す冒険に出る……というストーリーだ。

 原作者の荒川さんは99年、エニックス(現スクウェア・エニックス)の21世紀マンガ大賞を受賞。01年に「鋼の錬金術師」の連載を始めた。担当編集者の下村裕一さんは「鋼の錬金術師の絵コンテを初めて見た時、大賞受賞作と同じダークファンタジーで、作品の完成度が高かった」と振り返る。

 「ハガレン」の魅力の一つは、禁忌に触れた二人が、その宿命を背負い、苦しみながら人間の生や死と向き合うという重いテーマに真っ向から取り組んでいることだ。その中でも印象的だったのが、国家錬金術師のショウ・タッカーが、自らの保身のために娘のニーナと愛犬のアレキサンダーを合成して、人語を解するキメラを生み出すというエピソードだ。エルリック兄弟になついていた可愛い少女ニーナが犬の姿になって、「おにいちゃん」とエドに呼び掛ける姿は衝撃的で、下村さんも「掲載するべきか最も悩んだ」という。だが、このエピソードが、錬金術の業(ごう)の象徴として、体を取り戻そうとする二人の兄弟に少なからぬ陰影を与え、物語もより深みを増していく。

 さらに、機械いじりが大好きな幼なじみの少女・ウィンリィ、軍の上官として登場し、二人とともに戦いを続けるロイ・マスタング大佐や部下のリザ・ホークアイら軍部の仲間たち、大総統キング・ブラッドレイ、「傷の男」スカーなど魅力的なキャラクターが次々と登場する。ホムンクルスのラストやエンヴィーら敵方のキャラも人気が高い。チビのエドと体は大きいが中身は幼いアルの凸凹コンビを筆頭に、キャラたちが繰り広げるギャグシーンが描かれ、重い物語の中でもほっとさせてくれる。その絶妙なバランスも「ハガレン」の特長だ。

 03年10月、MBS・TBSでアニメ化され、“平成ガンダム”として人気を集めた「機動戦士ガンダムSEED」の後を引き継いで放送された。原作のドラマに加え、アニメならではの迫力のアクションシーンなど、疾走感のある展開が人気を集めた。04年には第49回小学館漫画賞(少年向け部門)を受賞、連載誌の月刊「少年ガンガン」の発行部数も3倍になるなどの大ヒットとなり、05年には劇場版も公開された。

 アニメは中盤から、オリジナルの展開となっていったが、原作では「賢者の石」を巡るホムンクルスたちとの戦いを軸に、エルリック兄弟の父ホーエンハイムの過去や、多くの命が失われたイシュヴァールの内乱の真相が明かされ、さらに重層的な展開となっている。

 そして最新21巻では荒川さんが「この巻から、最終章(のようなもの)開始です。思えば遠くに来たもんだ」と表紙のそでで宣言。魂が鎧に拒絶反応を示し始めたアルと分かれ、合成獣人間のダリウスとハインケルらと行動を共にしていたエドは、父ホーエンハイムと再会。アルとも合流するが、そこには底知れない力を持つ「始まりのホムンクルス」プライドが……。一方、マスタングもリザたち昔の仲間を集めていた。国中を巻き込む錬成陣が発動するという「約束の日」に向け、すべての動きが収れんを始めるという息をのむ展開で、続く22巻は月刊「少年ガンガン」5月号と同じ表紙イラストで4月11日に同時発売される。

 子供から大人まで楽しめる日曜日午後5時という時間にMBS・TBS系全国ネットで、4月5日から新たなテレビアニメシリーズの放送がスタート、再び注目される「ハガレン」。ホムンクルスの野望を止め、アルの体は取り戻せるのか。そして、「チビ」とバカにされていたウィンリィより、ちょっぴり背が高くなったエド、成長した二人の恋の行方は……。佳境に入った物語とともに、見逃せない。

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