手塚治虫 きょう生誕80周年 現代アーティストのモチーフ作品ずらり
11月3日8時1分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
11月3日の手塚治虫生誕80周年を記念し、現代アーティストが手塚漫画をモチーフに作品を仕上げた「手塚治虫の遺伝子 闇の中の光展」が東京都渋谷区の渋谷パルコで開催されている。最先端の感性で彩られた「ブラック・ジャック」や「リボンの騎士」に出合えると評判だ。10日まで開催。
妖艶(ようえん)なまなざしを持ったブラック・ジャックに水彩画のようなタッチで描かれたサファイア。アートやグラフィックデザインといった分野で活躍する30組以上のクリエーターが、それぞれの解釈で描いた手塚治虫のキャラクターたちが、渋谷パルコ・パート1の6階の展示スペースを埋め尽くした。
“漫画の神様”として知られる手塚治虫氏(1928~89年)は、60歳で没するまで数え切れない漫画を描いて、日本中を楽しませた。影響を受けた作家をあげればきりがない。「サイボーグ009」の石ノ森章太郎氏も「ドラえもん」の藤子不二雄氏も手塚に認められて上京し、デビューした。「ポーの一族」で知られる萩尾望都(はぎお・もと)さんは「『新選組』を読んで、漫画がこんなに人の心を揺り動かすなら自分でも描いてみたい」と漫画家の道を進んだ。
「鉄腕アトム」でアニメ制作に乗り出した手塚氏の下からは、大人気となったテニスアニメ「エースをねらえ!」の出崎統(でざき・おさむ)監督、ロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」の富野悠由季(とみの・よしゆき)監督らが出て日本をアニメ大国へと押し上げた。
今回出品しているのは、漫画やアニメ分野とは一線を画すクリエーターたち。しかし、子供のころから手塚作品に触れてはぐくまれた想像力や感動は、作品の中に見ることができる。
鉛筆画で「火の鳥」や「きりひと賛歌」を描いた青木京太郎氏の作品には、手塚作品ならではのキャラクターの奥深さがにじむ。少女をモチーフにした作品を多く手がける現代美術家の鴻池朋子(こうのいけ・ともこ)さんは、手塚作品で躍動するキャラクターに魅せられた感動を、サファイアの絵に込めた。
「どろろ」に渦巻く登場人物たちの情念をぶつけた壁画。アトムが持つ独特のデザインをブロック玩具で表現した作品。手塚作品に描かれたあらゆるものが、読者に影響を与え、世代を超えて新しいキャラクター、ビジュアル表現、メカデザインを生み出している。手塚作品の影響はアートの世界にも広がりつつある。
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【プロフィル】手塚治虫
てづか・おさむ 1928年11月3日大阪府に生まれる。46年に17歳でデビュー作「マアチャンの日記帳」を「小国民新聞(のちの毎日小学生新聞)」に連載。47年長編漫画「新宝島」刊行、51年「アトム大使」連載、52年から「鉄腕アトム」連載。89年2月9日死去、享年60歳。
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